『シルヴィアーダイアナのニンフ』Act3ストーリー⑩ - ジョイ・バレエ　ストゥーディオ

『シルヴィアーダイアナのニンフ』Act2ストーリー⑧

『シルヴィアーダイアナのニンフ』Act3ストーリー⑨

ActⅢ  女神ダイアナの神殿近くの海岸

全員の歓喜が最高潮に達した時、突然、光輝いていた空は厚い雲で覆われ、辺り一面は闇に包まれる。誰もが不安な面持ちで空を見上げる中、シルヴィアだけがダイアナの神殿を振り向き、嵐の前兆の理由を解っている。『忘れてはいけなかった！私は “決して人を愛さない” と女神ダイアナに誓ったのだった！』心配して近づくアミンタをシルヴィアは遠ざける。『その誓いを破り、アミンタを愛してしまった事を、女神ダイアナは御怒りなのだ！』シルヴィアはダイアナの神殿に向かい《女神ダイアナへの忠誠》を再び示そうとするが《アミンタへの愛》を棄て去る事は出来ようも無く、その狭間で苦しみ涙を流す。真っ暗な空に稲妻が轟き、シルヴィアはダイアナの怒りに恐怖を感じる。遂に大音響と共に、神殿から女神ダイアナが弓矢を構えて登場する。シルヴィアは跪き、その場の全員も恐怖で平伏すが、アミンタだけがシルヴィアを庇うべく、矢を向けながら一歩ずつシルヴィアに近付くダイアナの前に立ち塞がる。平伏していたシルヴィアが目を上げると、ダイアナの弓矢の前にアミンタが立っている。狂った様にアミンタの前に駆け込み『どうかアミンタを射たないで下さい！』と懇願する。ダイアナは言う。『思い出しなさい！ 貴女が私に誓った事を！』シルヴィアが答える。『私は貴女に誓いました。決して人を愛さないと！ でも私は、アミンタを愛してしまったのです！』ダイアナは尚も矢をシルヴィアに向ける。『私を射て下さい！』とシルヴィア…。アミンタが更にダイアナの前に進み出て平伏して言う。『私こそが有罪です！私を射て下さい！』恐怖で平伏していた全員が顔を上げ、女神ダイアナに懇願する。『どうか、シルヴィアをお許し下さい！』『ノン！』女神は頑なに聞き入れず、その怒りと共に更なる強大な嵐が轟く。もはや誰も顔を上げる事が出来ずに地面に平伏している。

ただ1人、嵐の中、怒りの最高潮の女神ダイアナの前に歩み寄る人物がいる。『女神ダイアナよ、怒りの弓矢を収めなさい。』ダイアナは、海賊の姿をしたその人物に気圧され、振り上げていた弓矢を降ろす。『想い出して下さい。遠い昔を。貴女も人を愛した事がありました。』ダイアナは想い出す。遠い昔、ダイアナ自身も嘗て人を愛していた事を…………弓矢が手から落ちる。『私の過去を知っている其方は、どなたですか？』ダイアナの問い掛けに、海賊がその衣を脱ぎ落とすと、愛の神アムールとしての姿が現れる。ダイアナはアムールの計らいを理解し、全てを赦す事にする。『シルヴィアよ、アミンタよ、顔をおあげなさい。2人の愛を赦しましょう。』女神の赦しと共に、厚く覆っていた嵐の雲が開き、海岸に美しい光の輝きが戻り、神殿はその素晴らしい全貌を現す。

ーーーーーシルヴィアとアミンタは、女神ダイアナと愛の神アムールの導きで、祝福を受ける。

2010日本初演＆2020リハーサル