『レ・パラダン(遍歴騎士)』公演評

投稿日:2013/10/19 土曜日 | カテゴリー:平和台スタジオ, 新所沢スタジオ, 本部スタジオ, 舞台のお知らせ 

フレンチバロック・オペラ「レ・パラダン(遍歴騎士)」御来場頂いたお客様のブログより、下記に掲載いたします。

フレンチバロック・オペラ 『レ・パラダン(遍歴騎士)』 (2013/9/27)

映画「アマデウス」で印象に残っているシーンに、「フィガロの結婚」にバレエの挿入を命ずる皇帝にモーツァルトが必死に抵抗する場面がある。
それ以前の歌劇で、バレエがどのように使われていたかを知らなかったので、モーツァルトの想いが理解できず、ずっと謎のままだった。

ラモーが歌劇を作っていたことは知っていても、それ以外のことは何も知らないが、バレエ団が主催するオペラ公演ということは、バレエがふんだんに盛り込まれる作品なのだろう、と目星をつけて、練馬まで足を伸ばすことにした。

無論、バレエ団が歌劇を主催するというのは何だか変なので、不安がなかったわけではない。

実演に接してみると、3時間近くラモーの音楽に浸れるというのは、実に楽しい経験だった。
音楽史に名を残しているだけのことはある非凡な作曲家である。

音楽の構成は、序曲が終わると、歌が始まる前に、まずバレエ音楽、という具合で、この様子から見ると、当時は、独立したバレエ作品というのは無かったのではあるまいか、と思えるほど、アリアとバレエとが、ほとんど対等な関係にある。

当時の宮廷を想像すると、貴族たちは、歌劇の上演中もおしゃべりやら、トランプやらに興じていたのだろうから、バレエだったら眺めながらおしゃべりが出来る、アリアを聴きながらのおしゃべりは、音楽を楽しむ気持ちがあったらちょっと具合が悪い、ということであろうから、これくらい
の比率でちょうど良かったのかも知れない。
当時の宮廷に深く食い入っていたラモーが、その適切なバランスを見逃すはずはない。
これを見ると、バレエが、まずフランスで発展した事情もよく解る。
そして、次の時代を予見していたモーツァルトが、バレエなしの歌劇を志向したのもよく解る。
歌劇は、フランス革命後も、イタリアとドイツで延命するが、バレエは、ロシアで辛うじて生き永らえる。
パリはロンドンと同様、外国オペラの興行地となって行く。

それにしても、この公演、舞台装置といい、衣装といい、想像を超えて本格的である。

歌手陣では、とりわけ侍女役による、音響特性が良いとは言えないホールが共鳴するほどの歌唱には、驚かされた。

バレエについては、第三幕で、そろそろ大団円かな、でもそれにしては、ちと早いな、と感じたタイミングから、延々とバレエタイムが続いたことに、まず驚かされた。

そして、その間の盛り上げ効果は確かにあって、この終盤のバレエを観ているうちに、この公演の印象が大きく変わったことは認めざるを得ない。

考えてみれば、快楽の追求に余念のなかった当時の王侯貴族が、歌劇だけ、とか、バレエだけ、で満足したはずもない。

終わり良ければ全て善し、というのが、ラモーが仕事をしていた時代の職場環境であったろうから、ここに工夫を凝らしたことは当然である。
だが、それが、今日でも有効であることを見せつけらたのは思いも寄らぬことだった。
フレンチバロック・オペラ 『レ・パラダン(遍歴騎士)』
2013年9月27日(金)18時半 練馬文化センター
ジョイ・バレエストゥーディオプロデュースフレンチバロック・オペラ Vol.2
ジャン=フィリップ・ラモー作曲『レ・パラダン(遍歴騎士)』全3幕
古楽アンサンブル Nunc Stansによるヴェルサイユピッチa’=392Hz にて日本版初演
ジャン=フィリップ・ラモー初稿復刻 オリジナルスコア 幻の序曲 世界初演
芸術監督・演出・振付・構成 錦織佳子
音楽監督・指揮・チェンバロ 武久源造
コンサートマスター       天野寿彦
遍歴騎士アティス          青木洋也   [ハイテナー]
美しく若いイタリア女性アルジ 峯島望美   [ソプラノ]
年老いた元老議員アンセルム   春日保人   [バリトン]
アルジの侍女ネリーヌ      小野和歌子 [メゾソプラノ]
アンセルムの部下オルカン    小林 優     [バリトン]
妖精マント              吉田志門    [テノール]
バレエ 錦織 舞・中島駿野・落合リザ・二上史生・大橋悦子・神田衣舞・北條安斗苗
合唱  本徳喜美恵・大久保雅代・富本泰成・田尻健・金沢青児
      吉田志門・梅田純吾・上條力秀・土屋繁孝・櫻井元希

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