『シルヴィアーダイアナのニンフ』終演から2週間
「シルヴィアーダイアナのニンフ」終演から2週間を経過致しました。2週間経過した昨日が《コロナ禍における》本当の意味での《終演》です。出演者もスタッフも御客様も誰も感染する事なく本日を迎える事が出来ました。例年のように、舞台の幕が降りる = 終演ではなく、本番後、感染者が出ない事が重要であり、この2週間を迎えるまでは緊張が続いていました。劇場や都の規定では客席キャパの半数の動員が可能でしたが、本番直前に感染者数が増えていた為、ジョイ・バレエ独自の判断で3分の1まで減らしました。3分の1の座席は1階から3階まで全て埋まり、ステージに温かいエネルギーを送ってくださいました。このコロナ禍に御来場くださった御客様、サポートしてくださった生徒の御家族に、改めて御礼申し上げます。
ソリスト上級の生徒は大学受験も控え、5月10日が延期になってから半年間、上演日が決まらない半年間、学業との両立が本当に大変だったと思います。長期間、ネガティブな言葉を発せずに直向きに『シルヴィアーダイアナのニンフ』という作品に集中し、自己を高め、常に前を向き頑張りぬいた精神力に拍手を送ります。3歳の最年少の生徒も含め、“コロナ禍での舞台”という事をしっかりと理解し、感染対策、マスク着用、全てに全員が協力的でした。『熱が有ったら劇場に入れない』という思いを抱え、楽屋口に集合し、舞台に立てる事が“当たり前では無い”という認識の下に舞台が進行していました。本番の日の生徒達の姿は頼もしく、しっかり地に足をつけ舞台に臨んでいました。例年であれば3か所のスタジオが合同で行う通し稽古を、今回は、2月に行ったきり、9カ月間決行できず、常に少人数でのリハーサルしか出来ませんでした。本部スタジオ・平和台スタジオ・新所沢スタジオ、誰が隣で踊っているのか、よく理解出来ないまま、総勢70名での大行進《マルシェ》に挑みました。本番当日のゲネプロもソリスト上級とゲストダンサーのみで行い、子供達はゲネプロ無しで、ほぼぶっつけ本番、という、初の試みでしたが、『シルヴィアを上演出来る』『舞台に立てる』という共通の強い思いが奇跡的な大成功を生みました。コロナ禍という事で演出を次々に変更し、1曲踊る度に、袖幕から駆け込み、踊り終わったら袖中にはける、という、最年少にとっては難しい動線を、ぶっつけ本番でやりきりました。ましてや、子供達はBrilliaホールは初めてで、舞台上の大きさ、奥行き間、袖幕の数、などを把握出来ないまま、板付きで幕を上げ、踊り切りました。また、主役男性ダンサー病欠の為、他のゲストダンサーに急遽、主役を引き受けて頂き、数時間後に本番を踊り切って頂きました。
日本で上演されていない作品ですので、フレンチバロック・オペラの『プラテ』のプラテ役を本番当日に引き受けて、数時間後に本番を迎えるのに匹敵する過酷な状況でした。プロ根性を見せて頂き、そのエネルギーで舞台の成功に貢献して頂きました。
生徒達・相手役突然の変更を受け入れ、踊りきったシルヴィア役の生徒へ、当日叫びたかった『ブラボー』を送ります。(コロナ禍ですので発声禁止でした)